賃貸借契約であっても、強行法規に反しないのであれば、当事者の合意で特別の約定を設けることは可能です。
 もっとも、例えば、一定範囲の小修繕を賃借人の義務とする修繕特約については、単に賃貸人の修繕義務を免除する趣旨の規定であると制限的に解釈する裁判例が多いようです。
 また、通常損耗分も含め、賃貸借開始時の状態に復するという原状回復特約についても、裁判例では、特約自体を無効とするものは少ないものの、賃借人が特別な負担を伴う特約の内容について理解していたとはいえないとして、特約の成立そのものを認めない裁判例が多くあります。
 このような裁判例を踏まえ、ガイドラインでは、特約を設ける場合には、
@ 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
A 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことを認識していること
B 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
を要件として満たすように要求しています。
 また、通常損耗を賃借人負担とする特約は、特約の内容によっては消費者契約法10条に違反して無効となるという裁判例も現れているため、特約を設ける場合には、十分な留意が必要です。