建物賃貸借関係をめぐるトラブルの中でも、賃貸借契約終了に際しての敷金精算についてのトラブルは増加傾向にあります。このトラブルは、敷金精算にあたり、原状回復費用の負担額について、貸主側の意向と、借主側の意向が一致しないことに原因があります。
 厳しい経済状況が続く中、貸主サイドは賃料競争の中で賃料を設定しており、他方、借主サイドも返還されるであろう敷金を念頭に置きつつ転居を考えるので、双方の対立は、どうしても厳しいものになりがちです。
ガイドラインの理解を通じた経営の高度化
 平成10年3月、当時の建設省は、原状回復に関わる紛争が裁判となった場合の裁判例等を集約し、原状回復をめぐるトラブルについてのガイドラインを示しました。このガイドラインは、平成16年2月に改訂されています。
 敷金精算をめぐるトラブルが発生すると、その対応のためにかけなければならない時間や費用は、紛争の金額と比較して極めて大きなものになります。ガイドラインが紛争の裁判例も踏まえて作成されている以上、ガイドラインを理解し、それに応じた実務処理を行うことは、余計なコストを削減することにもつながりますし、不動産賃貸業の経営の高度化にもつながります。